ダイビングには、飛板飛込み(スプリングボード・ダイビング)と高飛込み(プラットフォーム・ダイビング)の二種類がある。
飛板飛込みは、ジュラルミン製の飛板のもつ弾力の性質を利用して踏切り、空中高く飛び上がり、いかに美しく優雅に宙返りや捻りを演技するかを競うものであり、高飛込みは10Mという高さの固定台から力強く踏み切って空中に飛び出し、ダイナミックに宙返りや捻りを演技し、美しさと豪快さの両方を競うものである。
ダイビングの人気は、日本では競技人口が少なく施設等が限られているためにそれほどではないが、欧米諸国では非常に人気は高く競技人口も多い。よって、国際大会が満員の観客で埋まることは珍しいことではなく、人種や国の習慣を越えて世界中の多くの国でダイビングが行われ、また見るスポーツとして盛んである。
このダイビングの特徴としては、まず第一に空中を宙返りや捻りを使って舞い、人に見せるという芸術的な要素があげられる。したがって、ダイバーたちは技の完成を目指し、あるいは難しい技に挑戦しながら究極的には、人体の動きの美しさを追求している。
ダイビングは体操競技やフィギアスケートと同じように採点競技であるが、自己をアピールできる点においては他の競技を圧倒するほどの魅力がある。またダイビングの特徴としては、一瞬で勝敗が決まるという演技時間の短さがあげられる。ダイバーは飛込み台、あるいは飛板から踏み切って演技のフィニッシュである入水までわずか1.8秒前後、その間に多くの宙返りや複雑な捻りなどの技が行われる。したがって、ちょっとした心の動揺が大きく演技に影響する。ダイバーはこの普段ではとても味わえない緊張感やスリルにたまらない魅力を感じ、技が決まったときの爽快感や充実感になんともいえないダイビングの魅力を感じている。
さらにダイバーは、飛込み台の高さや最近では宙返りや捻りの数が増え、非常に難しくなってきた技そのものに恐怖心を抱くものであるが、ダイバーにはこのような技を完成させるまでの根気と集中力、そして恐怖心を乗り越える力など、強靭な精神力が要求される。これは、自己の能力の限界に挑戦し、常に可能性を追求する人間の達成意欲を駆り立てる、ダイビングのもう一つの魅力でもある。
観客の見守る中、しーんと静まり返った競技場の中で、一人飛込み台の上に立ち、息詰まるような緊張感の中、自分自身の最高の演技ができたとき、観衆の拍手を浴びながら表現のしようのない感動がダイバーを包みこむ、その瞬間にこそダイビングの魅力があるのではないでしょうか。